RSIは0〜100のスケールで勢い(モメンタム)を測り、MACDは2本の移動平均線の差を追ってトレンドの勢いとその転換を示し、ATRは1本の足で価格が通常どれだけ動くかを測り、EMAは直近の価格に重みを置いた移動平均線です。4つを合わせると、方向は、強さは、荒れ具合は、そして変化しているか、という4つの問いに答えられます。
どの指標も価格の要約であり、新しい情報ではありません。すでにチャートに表れているものを、よりはっきり見せてくれる道具です。ここでは1つずつ解説し、その後に組み合わせ方を説明します。
4つの指標の早見表
| 指標 | 測るもの | 標準設定 | 答える主な問い |
|---|---|---|---|
| EMA | トレンドの方向 | 20、50、200 | 相場はどちらへ向かっているか? |
| RSI | 勢い | 14期間 | 今の動きはどれだけ強いか? |
| MACD | トレンドの勢いと転換 | 12、26、9 | トレンドは勢いを増しているか、失っているか? |
| ATR | ボラティリティ | 14期間 | 価格は普段どれだけ動くか? |
EMA:指数平滑移動平均
指標の中身
直近の足に大きな重みを置いた終値の平均です。重み係数は k = 2 ÷ (N + 1)。20EMAなら k = 2 ÷ 21 ≈ 0.095 です。
今日のEMA =(終値 − 昨日のEMA)× k + 昨日のEMA
例:昨日の20EMAが $100.00、今日の終値が $104.00。EMA =(104 − 100)× 0.095 + 100 = $100.38。EMAは価格に近づきますが、一部だけです。これが平滑化です。
見方
- 上向きのEMAの上に価格:上昇トレンド。下向きのEMAの下なら下降トレンド。
- 20EMA:短期トレンド。強いトレンドでは、ここまでの押し目がよく見られます。
- 50EMA:中期トレンド。動的なサポートやレジスタンスとしてよく機能します。
- 200EMA:長期トレンド。日足で広く注目されています。
- クロス:50が200を上抜けるのは「ゴールデンクロス」、下抜けるのは「デッドクロス」と呼ばれます。仕組み上遅れるもので、たいていは動きがかなり進んでから出ます。
よくある誤読
EMAに触れるたびに反発すると考えること。レンジ相場では価格がEMAを何度も行き来します。EMAがサポートやレジスタンスのように働くのは、トレンドがあるときだけです。
RSI:相対力指数
指標の中身
RSIは、14期間における上昇した終値の平均幅と、下落した終値の平均幅を比べます。
RSI = 100 − 100 ÷(1 + RS)、ここで RS = 平均上昇幅 ÷ 平均下落幅。
例:14期間の平均上昇幅が $1.20、平均下落幅が $0.80。RS = 1.5。RSI = 100 − 100 ÷ 2.5 = 60。
見方
| RSIの水準 | 一般的な読み方 |
|---|---|
| 70超 | 強い上昇の勢い(「買われすぎ」) |
| 50〜70 | 強気の勢い |
| 30〜50 | 弱気の勢い |
| 30未満 | 強い下落の勢い(「売られすぎ」) |
- トレンドの文脈で水準が変わります。 上昇トレンドではRSIは40〜80の間で動くことが多く、下降トレンドでは20〜60の間で動くことが多いです。
- ダイバージェンス:価格は高値を切り上げているのに、RSIは高値を切り下げている状態。勢いが衰えています。これは警告であってタイミングを計る道具ではありません。ダイバージェンスは何回ものスイングにわたって続くことがあります。
よくある誤読
RSIが70を超えたから売ること。強いトレンドでの「買われすぎ」は何週間も続くことがあります。エントリーのきっかけとしてより、リスクを絞る、飛び乗りを避けるための目印として使うほうが役に立ちます。
MACD:移動平均収束拡散法
指標の中身
3つの要素で構成されます。
- MACDライン = 12EMA − 26EMA
- シグナルライン = MACDラインの9期間EMA
- ヒストグラム = MACDライン − シグナルライン
例:12EMA = $105.40、26EMA = $103.90 → MACD = 1.50。シグナル = 1.10 → ヒストグラム = +0.40。
見方
- MACDがゼロより上:短期の平均が長期の平均を上回っている、つまり強気のトレンドの勢い。ゼロより下なら弱気。
- MACDがシグナルラインとクロス:勢いの転換。ゼロより上での上抜けは、ゼロより大きく下での上抜けよりも重みがあります(逆も同様)。
- ヒストグラムの縮小:トレンドが続いていても勢いは衰えています。目に見える最も早い変化であることが多いです。
- ダイバージェンス:RSIと同様に、価格の高値がMACDの高値で確認されない場合は弱まりのサインです。
よくある誤読
シグナルラインとのクロスのたびにトレードすること。横ばい相場ではMACDが何度もクロスし、ダマシが続きます。クロスを信じる前に、価格が実際にトレンドを描いているか(EMAに傾きがあるか、高値・安値が切り上がっているか切り下がっているか)を確認しましょう。
ATR:アベレージ・トゥルー・レンジ
指標の中身
14期間の「トゥルーレンジ(真の値幅)」の平均です。トゥルーレンジは次のうち最も大きい値です。
- 高値 − 安値
- |高値 − 前日終値|
- |安値 − 前日終値|
例:今日の高値 $52、安値 $50、前日終値 $49。値は2、3、1 → トゥルーレンジ = $3($49 からの窓も含まれます)。
見方
ATRに方向はありません。足1本の通常の大きさを教えてくれます。
- 損切り:構造上の水準に0.5〜1.5 ATRの余裕を加えた外側に置けば、ノイズで振り落とされにくくなります。ポジションサイズの計算ガイドをご覧ください。
- 目標:短い時間足で10 ATR先の目標は楽観的です。1回のスイングなら2〜4 ATRがより一般的です。
- 相場環境:ATRの上昇はボラティリティの拡大(ブレイクアウトや急落時に多い)、ATRの低下は収縮を意味し、シンメトリカルトライアングル(三角保ち合い)やフラッグからのブレイクアウトの前触れであることが多いです。
よくある誤読
どの銘柄にも同じ金額の損切りを使うこと。ATRが $0.80 の株なら $2 の損切りは広いですが、ATRが $4 の株ならノイズの内側です。
4つの組み合わせ方
各指標は異なる問いに答えるので、重複するのではなく補い合います。RSIとMACDはどちらも勢いを測るため、両方使うと同じことを二度確認するだけになりがちです。EMA(トレンド)とATR(ボラティリティ)は、本当に別の情報を加えてくれます。
シンプルな枠組みは次のとおりです。
- EMAで方向性を決める。 上向きの50EMAの上に価格があれば買いを探し、下向きの50EMAの下なら売りを探すか様子見します。
- 価格の構造で水準を決める。 エントリー、損切ライン、目標はサポートとレジスタンスで決まります。
- RSIかMACDでタイミングを計る。 勢いがトレンド方向に戻るのを待ちます。上昇トレンドでRSIが40〜45から回復する、押し目の後にMACDのヒストグラムがプラスに転じる、などです。
- ATRでサイズを決める。 損切りの余裕と目標の現実性はATRから決まります。
数値例
ある株の日足:
- 価格は $82、上向きの50EMA($78)の上。方向性:買い。
- $80〜$80.60 のサポートまで押し、そこは20EMAにも近い。
- RSIは44まで下げてから51に上向いた。MACDのヒストグラムはマイナス幅が縮小し、プラス転換間近。勢いが再び上向き。
- そのゾーンで陽の包み線が出現。
- ATR = $1.60。
売買シナリオ:エントリー $82、損切ライン = $80 − 0.5 × $1.60 = $79.20、リスク $2.80。次のレジスタンスは $88.40 → リワード $6.40、リスクリワード ≈ 2.3:1。$20,000 の口座で1%のリスク($200)なら、サイズ = $200 ÷ $2.80 ≈ 71株。比率はリスクリワード計算ツールで確認できます。
何がこのシナリオを否定するか?日足が $79.20 を下回って確定する、RSIが再び40を割り込む、MACDがゼロより下へ下抜ける、のいずれかです。
時間足によって設定は変わるのか
基本的には変わりません。標準設定は期間の「本数」であって時間の長さではないので、日足の14期間RSIは約3週間分の取引をカバーし、1時間足なら14時間分をカバーします。この自動的なスケーリングがあるからこそ、同じ設定がどの時間足でも機能します。変わるのは解釈です。下位の時間足ほど数値が頻繁に反転し、極端な値の意味も小さくなります。何かを調整するなら、書き出せる理由のもとで一度だけ行い、トレード日誌で結果を判断できるだけの期間、固定しておきましょう。
避けたいミス
- 指標の重ねすぎ。 5つのオシレーターが一致しても、それは同じ1つの意見を5回聞いているだけです。
- 過去に合わせて設定を最適化する。 先月「うまくいった」9期間のRSIはカーブフィッティングです。標準設定は共通の基準点です。
- 時間足を無視する。 日足のRSIが75で、15分足のRSIが25ということは普通にあります。
- 水準の代わりに指標を使う。 指標は価格に遅れます。判断が下されるのは水準です。
スキャンでの指標
SnapPulseはチャート画像を読み取ると、検出したパターンや主要な水準とともに、RSI・MACD・ATR・EMAを平易な言葉で説明します。数値だけでなく、それぞれがそのセットアップについて何を示しているかを伝えます。その後、Coachが「この損切りになぜATRが重要なのか?」といった追加の質問に答えます。実際にトレードしているチャートで指標を学べる、実践的な方法です。
基礎をさらに固めるには、ローソク足の見方とリスクリワードの解説をお読みください。
本記事は投資教育を目的とした情報であり、投資助言ではありません。