ストキャスティクスは、直近の終値が過去14本の高値・安値のレンジのどこにあるかを0〜100で測るオシレーターです。100に近ければ価格は直近のレンジの上端付近で引けており、0に近ければ下端付近で引けています。14・3・3の設定では%Kと%Dの2本の線を描き、80以上を買われすぎ、20以下を売られすぎとします。
ジョージ・レーンが1950年代にこの指標を広めたのは、ある観察がきっかけでした。上昇トレンドでは終値がレンジの上の方で決まりやすく、下降トレンドでは下の方で決まりやすい。その習性が崩れるとき、モメンタムが変わりつつある、というものです。ほかのオシレーターと同じく、ストキャスティクスは完全に価格から導かれるので、新しい情報を加えるのではなく、チャートがすでに示しているものを整理し直しているにすぎません。
ストキャスティクスの計算方法
ファストストキャスティクス
- 生の%K = (終値 − 14期間の最安値) ÷ (14期間の最高値 − 14期間の最安値) × 100
- ファスト%D = 生の%Kの3期間単純移動平均
ファスト版は動きが激しいため、ほとんどのプラットフォームはスロー版をデフォルトにしています。
スローストキャスティクス(14・3・3)
- スロー%K = 生の%Kの3期間SMA(これが1つ目の「3」)
- スロー%D = スロー%Kの3期間SMA(2つ目の「3」)
つまり、スロー%Kはファスト%Dと同じで、スロー%Dはそれをもう一度平滑化したものです。「14・3・3」の3つの数字は、参照期間、%Kの平滑化、%Dの平滑化を表しています。
数値例
過去14本の最高値が $120、最安値が $100 だとします。今日の終値は $115 です。
生の%K = (115 − 100) ÷ (120 − 100) × 100 = 15 ÷ 20 × 100 = 75。
直近3つの生の%Kが75、80、85なら → スロー%K = (75 + 80 + 85) ÷ 3 = 80。
直近3つのスロー%Kが72、76、80なら → スロー%D = (72 + 76 + 80) ÷ 3 = 76。
読み方:%Kの80はちょうど買われすぎの境目で、%Dより上にあるので、短期のモメンタムはまだ上向きです。この計算式が無視しているものにも注意しましょう。価格がどれだけ動いたかです。$100〜$120 のレンジで $115 の終値なら、じりじり上がってきても急騰してきても、値は75になります。
買われすぎ・売られすぎ:トレンドとレンジ
80/20のしきい値は、相場環境によってまったく違うふるまいをします。
レンジ相場では、ストキャスティクスは設計どおりに機能します。価格はサポートとレジスタンスの間を行き来し、オシレーターもそれにつれてゾーン間を振れます。サポート付近で20を下回り、その後%Kが%Dを上抜けて20の上に戻るのは、妥当な買いのトリガーです。レジスタンスではその逆が当てはまります。
トレンド相場では、ゾーンが判断を誤らせます。強い上昇局面では、終値が14期間のレンジの上端付近で決まり続けるため、ストキャスティクスは長期間80以上に張り付きます。そこで売るのはトレンドに逆らうことです。トレンド相場でのより良い使い方は次のとおりです。
- 上昇トレンド: 買われすぎの値は無視します。押し目でストキャスティクスが20を下回る(または20〜40のゾーンに入る)のを待ち、上向きのクロスで買います。
- 下降トレンド: 売られすぎの値は無視します。戻りで60〜80以上に入るのを待ち、下向きのクロスを探します。
シンプルな相場環境フィルター:価格が上向きの50 EMAより上なら、ストキャスティクスの買いシグナルだけを、下向きのEMAより下なら売りシグナルだけを採用します。
ダイバージェンス
ダイバージェンスは、価格とストキャスティクスの動きが食い違うときに起こります。
- 弱気のダイバージェンス: 価格は高値を更新し、ストキャスティクスは高値を切り下げる。終値がレンジの上端で決まる力が弱まっており、買い圧力が薄れています。
- 強気のダイバージェンス: 価格は安値を更新し、ストキャスティクスは安値を切り上げる。売り圧力が弱まっています。
注意点が2つあります。まず、ストキャスティクスは速いため、小さなダイバージェンスが数多く出ます。意味があるのは価格チャートで見えるスイング同士の間にできるもので、できれば最初のオシレーターの極値が買われすぎ・売られすぎのゾーンにあるものです。次に、ダイバージェンスは警告であって、タイミングを計る道具ではありません。価格による確認を待ちましょう。小さなスイングの割れ、レジスタンスでの陰の包み足、ダブルトップのネックライン割れなどです。
ストキャスティクスとRSIの違い
どちらも0〜100の範囲に収まるモメンタム系オシレーターなので、トレーダーはよく両方を重ねて表示します。しかし、同じものではありません。
| ストキャスティクス(14・3・3) | RSI(14) | |
|---|---|---|
| 測るもの | 高値・安値のレンジ内での終値の位置 | 終値ベースの平均上昇幅と平均下落幅の比 |
| 高値・安値を使うか | 使う | 使わない(終値のみ) |
| 速さ | 速く、極端な値が出やすい | なめらかで、極端な値は出にくい |
| デフォルトのゾーン | 80 / 20 | 70 / 30 |
| 得意なこと | レンジや押し目の中での転換のタイミング | モメンタムの強さとトレンドの健全性の判断 |
| 弱点 | トレンド相場でダマシが多い | 短期の転換を示すのが遅い |
実際には、どちらか1つをメインのモメンタム指標に選びましょう。両方を使っても、たいていは同じ考えを2回確認するだけです。RSIの側面について知りたい場合は、RSI・MACD・ATR・EMAの解説をご覧ください。
設定の早見表
| 用途 | 設定 | ゾーン | メモ |
|---|---|---|---|
| デフォルト(ほとんどのチャート) | スロー 14・3・3 | 80 / 20 | 共通の目安 |
| 反応を速く | ファスト 14・3 | 80 / 20 | ダマシが増えることを覚悟 |
| なめらかなスイングのシグナル | スロー 21・5・5 | 80 / 20 | クロスは少なく、遅くなる |
| トレンド中の短期の押し目 | スロー 5・3・3 | 80 / 20 | トレンドフィルターと併用する場合のみ |
| 強いトレンド | スロー 14・3・3 | 方向に応じて 85 / 15 または 70 / 30 | ゾーンをトレンド側へずらす |
期間を使うほかのインジケーターと同じく、数値は日数ではなく足の本数なので、同じ設定がどの時間足でも使えます。
ストキャスティクスとほかのツールの組み合わせ方
実践的な4ステップの枠組みです。
- トレンドでバイアスを決める。 EMAの傾きとスイングの構造から、買いだけを狙うのか、売りだけか、レンジの両側で逆張りするのかを決めます。
- 水準で場所を決める。 実際のサポート・レジスタンスでのシグナルは、何もないところでのシグナルに勝ります。
- ストキャスティクスでエントリーのタイミングを計る。 反対側のゾーンからの、トレンド方向への%K/%Dのクロス。
- ATRで損切りを決める。 構造に0.5〜1 ATRの余裕を加え、ポジションサイズ計算ツールでサイズを決めます。
組み合わせの例
ユーロドル(EUR/USD)の4時間足で、価格は上向きの50 EMAの上にあります。価格は、以前のレジスタンスからサポートに転じた 1.0850 まで押しました。ストキャスティクスは14まで下がり、その後%Kが%Dを上抜けて20の上に戻ります。ハンマーが 1.0862 で確定しました。ATRは18 pipsです。
売買シナリオ:エントリー 1.0865、損切り 1.0832(水準とハンマーの安値の下に余裕をもたせて)、目標は直近高値の 1.0935。リスク33 pips、リワード70 pips、リスクリワード ≈ 2.1:1。リスクリワード計算ツールで確かめましょう。無効化の条件:4時間足が 1.0832 を下回って確定する、または価格が進まないままストキャスティクスが20の下へ戻る。
よくある失敗
- 上昇トレンドで買われすぎを売る。 ストキャスティクスは何週間も80以上にとどまることがあります。
- すべてのクロスでトレードする。 %Kと%Dは絶えずクロスします。意味があるのは、水準で、トレンド方向に起きたクロスだけです。
- RSIと重ねる。 2つのモメンタム系オシレーターが一致しても、同じ意見が2回出ただけです。
- 小さなダイバージェンスを読む。 価格チャートで見えるスイングを使い、確認を待ちましょう。
- ファストとスローを混同する。 ご自身のプラットフォームがどちらを表示しているかを把握しましょう。14・3と14・3・3では違う線になります。
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本記事は投資教育を目的とした情報であり、投資助言ではありません。