ATRは、J・ウェルズ・ワイルダーが1978年に発表した指標で、ボラティリティ、つまり1本の足で価格が普段どれだけ動くかを測ります。単純な「高値−安値」と違い、取引時間の間に空いた窓(ギャップ)も考慮します。方向については何も示さないため、シグナルの道具というよりリスク管理の道具です。
計算方法
トゥルーレンジ(TR)は、次のうち最大の値です。
- 当日の高値 − 当日の安値
- |当日の高値 − 前日の終値|
- |当日の安値 − 前日の終値|
ATRはTRをワイルダー方式で平滑化した平均で、標準の期間は14です。
ATR =(前回のATR × 13 + 今回のTR)÷ 14
最初のATRは、通常、最初の14本のTRの単純平均で求めます。
計算例
前日の終値が100.00、当日の高値が103.00、安値が99.00だとします。
- 高値 − 安値 = 4.00、|高値 − 前日終値| = 3.00、|安値 − 前日終値| = 1.00
- TR = 4.00
前日のATRが2.50なら、
- ATR =(2.50 × 13 + 4.00)÷ 14 ≈ 2.61
窓が空いたケース:前日の終値が100.00、高値108.00、安値105.00。高値 − 安値は3.00にすぎませんが、|高値 − 前日終値|は8.00なので、TR = 8.00になります。ATRが窓のリスクをとらえられるのはこのためです。
損切りへの応用: 102.00で買い、1.5ATR離して損切りを置くと、102.00 − 1.5 × 2.61 ≈ 98.09になります。損切り幅3.91ドルで200ドルのリスクを取るなら、ポジションサイズは約51株です。
よくある間違い
- ATRを強気・弱気のサインとして読む。 ATRが測るのは値幅だけです。
- 異なる銘柄のATRをそのまま比べる。 20ドルの株のATR 2は、500ドルの株のATR 2よりはるかに大きな動きです。比べるなら価格で割りましょう。
- ボラティリティに関係なく損切り幅を固定する。 1ドルの損切りは、静かな日には広すぎ、荒れた日にはノイズの内側に収まってしまうことがあります。
- ATRが変化することを忘れる。 ボラティリティはニュースの前後で拡大します。ATRが上がればポジションサイズを見直しましょう。ATRに基づくトレーリングストップなら自動的に調整されます。
ポジションサイズ計算機を使えば、ATRに基づく損切り幅から株数やロット数を算出できます。RSI・MACD・ATR・EMAの解説もあわせてご覧ください。
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